10月13日、池袋シアターグリーン。BOXinBOXにて観劇。
以前『悲しみ』でご一緒した石坂さん、志賀さん、山下さん、嶋さん、久野さんが出演。
以下、感想ですが、はっきり言って舞台としては総合的に見て赤点だと思ったので
これ以降を読むと気分を害する可能性があります。
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もちろん読んだ上でのコメントは誠心誠意お受けします。
というか、パンフレットには演じている嶋さんの不満が書かれています。
まさに、一つの問題点はこの嶋さんが指摘している部分。
役者の技量や経験がバラバラだというのはどんな舞台でも当然です。
同じ劇団であったとしても、力量はバラバラで時間をかけて舞台を作っていきます。
しかし、今回の舞台はもう全員バラバラ。
ベテランは自分たちのやり方だし、若手もそれぞれ自分たちの調子。
それで絵になる役者はいいけれど、役者同士の絡みとなると噛み合っていない。
台詞のやり取りが上手くいっているかいっていないかとかそういう問題ではなく、
単純に個別にやっている感じ。
上手くいえば、役者に任せたとも言えるけど、明らかにその域ではない役者もいるのに
それぞれに任せたというのは、演出家としての仕事を果たしていないと思う。
何より、これだけ様々な役者が集まったのに、役者たちのためにも良くない。
そして、まず舞台が70年代であることが全くと言っていいほど分からない。
舞台装置も箱を利用した机の上に黒電話があるだけ。
開幕前や暗転中に流れているBGMしかその判断材料は無い。
キャンディーズやら何やらあるけど、舞台上が70年代としては表現は出来ていなかった。
というか、若い役者(特に主人公)たちが70年代を分かっていたのかが最大の疑問。
終わった後に知り合いの役者さんと、若い人たちが理解していたのかと
話の流れで軽く聞いたら、「分かってないんじゃない」と答えられてしまった。
もう、それでどうやって稽古してたのよ?と思わざるを得なかった。
役者が分からないものが観客に分かるわけがない。
では逆にベテランたちが70年代を意識していたのかというと
もっと意識されていなかったように思える。
というか、ベテランはベテランで無法地帯。
ただ山下さんのやり取りはイライラしていたり、振り回されているのが分かって良かった。
実際に色々とイライラしていたのかもしれないけど…。まぁそれはそれ、演技は演技。
あとキャンディーズの3人。今回の見どころはあの場面だけだった気もする。
でもあの場面が見せ場ではないでしょう、今回の舞台。
作品の中での主人公とヒロイン?の作り手同士の会話もまぁまぁだったけど
話しとしてあまりに唐突に2人がぶつかっては、和解するので構成上勿体ないと思った。
そして、今回の舞台で一番分からなかったのが話しの筋について。
内容が分からなかったとかではなく、この作品が何を表現したいのか分からなかった。
恐らく、作り手としての主人公が挫折にどう向かうのかというのが中心なのかなとも思ったけど
作品自体はそのことに触れるのでもなく、問題のある社員たちを笑う場面が続き
その中で主人公がどう仕事をしているのか、全く分からない。
古い価値観とか、保守勢力とか、小役人、ゴダールなど台詞にはあるものの
主人公は反骨心のあるクリエイターというよりも、はっきり言って単なる反抗期の高校生にしか見えない。
それが主人公の弱さだったとしても、その後、いきなりヒロインとの会話でコロっと変わってしまうので、さっぱり芯の無い人間に見えてしまう。
もっとその部分を描いて欲しかったし、舞台でそれを演じる役者たちを見たかった。
また、構成でいえば、むやみやたらと挿入される暗転。
あんなに暗転する必要がどこにあったのだろうか?
舞台となる場所は一切劇中において変わらないし、入退場でどうにでもできたと思う。
おかげで場面場面のブツ切りをつなげたようになってしまい、暗転中の音楽もあいまって
余計に話の流れは見えづらくなっていた。
最後に主人公が最後に作ろうとした天誅組の作品。
あれを舞台上で表現する必要がどこにあったのだろうか?
主人公がそれについて話をしている時には、確かに良いものができそうだと感じることができたのに、あれでは…。
むしろ、それを放送しようと努力した上司や同僚を描いた方が
その作品の価値を観客に感じさせられたと思う。
何だか表現するべきものが表現されてなくて、表現しなくてもいいところばかりだった。
色々な劇団やプロダクションから役者を呼び集めて舞台を作ること自体に
私は何の反対意見もないし、むしろ役者たちにとって勉強になると思う。
ただし、それはやり方次第。
その役者たちを前にどれだけ演出家が自分の表現したいことを伝えて、
それを演じさせられるか。
決して、それは役者にとって受け身ではないし、むしろ生産的な行為だ。
しかし、今回はその作業が全く持って見えなかった。
あと、演出家の仕事について思ったのが、空間を意識していたのかどうかということ。
舞台上のどこで誰が何をするのか、そこに綿密な計算はあったのだろうか。
これは役者だけでどうにかできることではない問題で、
それゆえにどう見えるかを演出する人間が考えなければいけない。
舞台は平面の画面とは違う。
以上、今回の感想でした。
他にもメモはあるけれど、あまりに細かいのでこの辺で終わります。
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