2010年11月22日月曜日

33回の失神@青年劇場結



11月20日 ロシアのオムスク第五劇場が
メイエルホリドの33回の失神を上演すると前日に知り
何とか滑り込みでチケットを手に入れる。

どうやら来日自体が突然決まったようで
チラシなどは10日前に配られたようなものらしい。
しかし、演劇好きというものはアンテナがすこぶる機能しているらしく
劇場は満員。


事前に今回の舞台や演出家のオレグ・ユモフについて調べたけれど
厳密にはメイエルホリドの33回の失神そのものではない。
メイエルホリドの舞台ではタバコの害については含まれていなかったが
演出家のアイデアでタバコの害についてを使って他の一幕物を
繋ぎ合わせたようだ。
他にもインターネットのインタビューを見ると
この舞台をやるきっかけになったのが、演劇大学時代に
メイエルホリドの上演についての本を偶然目にとめたことだったらしい。
実際のメイエルホリドの舞台については、批評や回想が残っているだけで
彼がどのように上演したのかについての情報は残っていない。
そのため、今回の舞台は演出家のオリジナルと言っていいだろう。

舞台はタバコの害についてのニューヒン演じる役者が
ピエロのようなメイクをして登場し始まる。
彼は公演の途中で他の役者に追い出され、
舞台袖でギターやピアノを弾くバックミュージックの担当に早変わりする。

舞台の幕が開くと、そこから一幕物の熊が始まる。
未亡人のポポーワ、相手のスミルノフともに
鳥を模したボートに乗って現われる。
確かマールイの新館で見た結婚申し込みも同じく2人がボートに乗って現われる演出だった。
ロシアではよく用いられる演出なのだろうか?

これまでロシアから来日した劇団はどちらかと言うとリアリズムのストレートプレイだが
今回の舞台はかなり戯画化された、つまりはっちゃけた舞台と言える。
所々覚えたての日本語をはさんだり、観客に質問したり、日本語字幕に触れたりと
上演自体が自由な雰囲気。
こうしたタイプの公演が日本で行われること自体が素晴らしいことだと思う。

熊が終わると、記念祭、結婚申し込みと続き、再びタバコの害についてに戻って
2時間半の舞台が終了。最後には観客と役者が一体になった状況で幕がおりた。


と、とても楽しい時間だったのだが
やはり劇場が狭かったためか、熊や記念祭などのドタバタしたシーンでは
窮屈そうな芝居で、役者たちが少し可哀そうだった。

0 件のコメント: