2014年2月16日日曜日

メイエルホリド生誕140年記念インタビューその1ミハイル・ウガロフ(テアトル・ドック芸術監督)

雑誌アフィーシャ「広告」に掲載されたメイエルホリド生誕140周年記念イベント前の
インタビューを翻訳したものです。
原文

いわゆるリアリズム演劇が力を失い、演劇芸術への国からの補助も減り
集客力のない劇場では芸術監督の交代が頻繁に起こっています。
そうしたなかモスクワでは若く新しい芸術監督が続々誕生するなど変化の真っ最中です。
スタニスラフスキーの弟子であり、演出家の時代を作り出したメイエルホリドについて
現在モスクワの演劇界を引っ張っていると思われる演出家や芸術監督たちは彼について
どう受け止めているのか。
それを発信することに意味があると思ったので訳します。

ミハイル・ウガロフ(テアトル・ドック芸術監督)
「メイエルホリド、それはなにかまったく抑えのきかないエレメント(自然要素)である。かれは人生を通して自らサリエリであろうと試みた人間である。彼は諸法則を導き出し、自然要素を制しようと試みてビオメハニカを作り出した。つまり、彼は恐れていたのだ。恐らく、これはとても馬鹿げた考えであるが、そう考えたのを私は当然だと考えている。スタニスラフスキーの人生がかなり平板であり、彼と同じくネミローヴィチも表面的な実践は変化せず、彼らは二人とも単に古くなっていったのに比べ、メイエルホリドは常に変わり続けた。彼のいくつかのポートレートを見て欲しい。それらはすべてほぼ別人である。あるときは革の人民委員のジャケットに身を包み、あるときはアルルカン、またあるときはドクトル・ダペルトゥットだ。わたしたちはちょうどエレーナ・グレミノーワの新しい作品であるメイエルホリドについての新しい舞台を準備中で、そこには7人のメイエルホリドが登場し、それぞれ別の役者が演じることになっている。毎回、彼は新しいものとして現われる。そう、私にとってメイエルホリドは、疑いようもなく登場人物なのである。彼は登場人物としての人生をまっとうした。死について語るつもりはない、いまのところそれが登場人物としてだったのかそうでなかったのかはっきりさせることができない。ともあれその死は異常なものだ、スタニスラフスキーもダンチェンコも幸福にも自分のベットの上で死んだ。ともあれ彼の現代演劇への影響とは、私はまさにこの演出家―登場人物のイメージだと考えている。いま私たちの周りにどれだけの演出家―登場人物がいるかご覧いただきたい。彼らは役割を演じ、とてもうまく出世をしていっている。」

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