2017年5月13日土曜日

俳優の仕事第5章 舞台における注意

134p いきなり誤訳である。
 紙幣を焼くエチュードはこれから登場するもので、正しくは燃えやすい暖炉のエチュード。マッチで火を点けようとするエチュードである。

 この章でスタニスラフスキーは観客席の暗闇に対する過度とさえも思える恐怖を表現している。スメリャンスキーやソロヴィヨワが言うように、彼にとって観客席は完全に無視されなければならない恐怖の対象である。

139p
 舞台付きの大教室は、観客席と原文にあるのだが、これも単語の読み間違いだろうか。

144p
 注意の一点ならぬ注意の多重点
 この文章に注意という単語がそもそもなく、原文では対象の点である。
 一点の対象ならぬ、複数点の対象。

145p
 見たり、目にとめたり、聞いたり、耳にしたり
 これは、英語のwatch see listen hear に当たるので、
 見る、眺める、聞こえる、聴くと明確にした方がよいのでは。

153p
 人前での孤独は、パブリックの意味なので 公衆の孤独と私は訳すべきだと思う。

 160pから始まる例は、注意の例としては不適当であると思う。これは集中力の話であって、注意の意識とは別物である。


0 件のコメント: