2008年8月26日火曜日

過去:しがらみ

町中で偶然5年ぶりの友人と会った。

「おお!久しぶり。」
「ええ!X君?ほんと久しぶりだね。」
「元気?」
「元気だよ。X君も元気そうね。」
「まぁ、ぼちぼちやっているよ。」
「今何しているの?スーツを着ているってことは会社員?」
「うん、そんなところ。これから会社に戻って上司に報告。」
「へー大変だね。」
「Yは何しているの?」
「私は原稿を届けに行くところ。」
「え、ということはライターになれたんだ。すごいな~」
「まだひよっこだよ。編集長にどなられては直す日々だもん。」
「そうか、でも同じどやされるなら、夢があった方が良いよ。会社でも家でもどやされてたまらない」
「家で?(相手の薬指の指輪に気がつく)あ、結婚したんだ。おめでとう。」
「あぁ、式は挙げてないけど、去年。子供も1人出来たんだ。」
「なんか、ほんとおめでたいことばかりだね。」
「(時計を見て)悪い、ちょっと時間がないから(名刺を渡す)また、もし暇があったら連絡してよ」
「うん、分かった。またね。」


と、このなんの変哲もない偶然の再会も
2人の過去があれば、全く変わったものになります。

ト書きに、元恋人と書かれていれば、結婚ということに対する反応を演じる必要があるし
ト書きに、かつて同じ夢を追っていた2人とあれば、夢という部分に反応しなければならない。

過去はしがらみ。

ちなみに、文章は外国人向けのロシア語の会話集から
もちろん、そこには2人の関係など全く書いていない、
単なる偶然の出会いの会話集。

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