2014年7月8日火曜日

埼玉大学研究機構テニュアトラック第1回シンポジウム

埼玉大学研究機構テニュアトラック第1回シンポジウム

 「民族の罠――ユダヤ人とパレスチナ人の場合」
 過去1世紀にわたって繰り広げられてきたいわゆるパレスチナ問題は、パレスチナの地をめぐってユダヤ人とパレスチナ人の間で繰り広げられてきた紛争として理解されている。しかしより本質的には、それは「民族」という概念にまつわる闘争である。この概念は、ある範囲の人々が、幾世代にもわたって、社会的・経済的・法的・文化的に他の人々から区別される存在であることを意味する。それゆえ、近代社会において民族は、政治的にきわめて重要な存在であるとみなされる。
 ユダヤ人が「普通の民族」になることを目指して始まったシオニズム運動、そしてイスラエル国家建設は、パレスチナの地で、「パレスチナ人」というもう一つの民族と対峙することになった。だが1世紀前、それぞれの前身とされる人々は必ずしも「民族」という概念を自らに当てはめようとしていたわけではなかった。例えばユダヤ人は、ユダヤ人であるのと同時にロシア人やポーランド人でもあった。パレスチナ人は、イスラームを介してネットワークが広がるアラブ世界の混淆性に深く根ざしていた。なぜ彼らの一部は、自らをあえて民族として喧伝していくことになったのか。パレスチナをめぐって、ユダヤ人とパレスチナ人とのあいだにはいかなる相互作用があったのか。そしてこうした過程のなかで、彼らは何を失ったのか。
 本シンポジウムでは、ユダヤ人やイスラエル、パレスチナ人にまつわる歴史と現状に即して、民族概念が近現代史において持ってきた魔力と陥穽について幅広く議論していきたい。
 
報告

鶴見太郎(埼玉大学研究機構・教養学部)「「ロシア・ユダヤ人」と「ユダヤ人」のあいだ」
田浪亜央江(成蹊大学アジア太平洋研究センター)「〈ベドウィン〉と〈パレスチナ人〉のあいだ――先住民概念をめぐって」
鈴木啓之(東京大学大学院総合文化研究科)「承認と否定のはざまで――和平交渉と『パレスチナ人』(仮)」

 討論者
澤田和彦(埼玉大学教養学部、ロシア文学・日露関係史)
宮田伊知郎(埼玉大学教養学部、アメリカ都市史・南部史)

 司会 山崎敬一(埼玉大学教養学部、社会学・エスノメソドロジー)

 日時:2014年8月2日(土)、14001730
場所:埼玉大学理工学研究科棟7階国際セミナー室

http://www.saitama-u.ac.jp/koho/guide/map/campusmap.html
(上記構内図の31番の建物です。構内図は南が上になっています)
アクセス:JR京浜東北線「北浦和」駅からバス15
JR埼京線「南与野」駅からバス10
JR武蔵野線「西浦和」駅からタクシー10

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